監査役の監査をしっかりして税務調査対策

 

監査役は,直接見ることの出来ない株主に成り代わって,その株式会社の業務や会計に問題がないかチェックするための役職です。つまり監査役がしっかりと監査をしていれば,税務調査そのものがまったく必要なくなるか,ほとんど必要なくなります。
しかし,現実の日本では,そのようになっていないのが現状です。たとえ監査役の承認があったとしても,ひとたび税務調査があれば,税務調査官にとんでもない処理の間違いを指摘されるなんてことは日常茶飯事と言えるでしょう。
このような,言ってみれば「名ばかり監査役」と呼んでも差し支えない状況になっているのは,主要な先進国の中ではどうやら日本だけのようです。
これは,日本における監査役の多くが,取締役を退任した後に就任する,いわゆる横滑り監査役であることがあげられます。このような状況では,元上司である代表取締役へ意見することは心情的に難しいと思われます。また,監査役の選任は,一般的に取締役会の指名に基づくのですが,これでは,取締役会に否定的な人間が監査役となることはほとんどないと言えましょう。
法改正によって,少しずつではありますが,本来の監査役の役割が出来るようになってきてはいるようですが,欧米諸国に比べるとまだまだ遅れていると言わざるを得ません。抜本的な仕組みの改善が行われ,監査役が設置されている会社には,税務調査が入る必要がない。というような状況になるのが理想であると言えるのではないでしょうか。